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今日も霙が舞っていて暗い。
ぼんやり眺めていると前に住んでいた浜辺の景色が無性に懐かしくなった。
坂道を5分ほどくだると小さな漁港でよくスケッチブックを携えて散歩したものだ。
移ろい行く時の流れにちょっとセンチになってるとこへ10歳先輩の友人から電話が掛かってきた。
グッドタイミング!
現金なもので途端に元気になって話がはずむ。
90年前後生きてれば話題には事欠かない。
「最近 小説より随筆のほうが面白くて」
「うん 私もそう 良かったのある?」
「小学生の頃讀んだ 銀の匙 讀み直したの」
「中勘助の 私も小学生のとき以来讀んでない」
「夏目漱石が絶賛していたのよね」
岩波文庫の薄い本が目に浮かんだ。
2円のお小遣いの中から買って大事にしていたっけ。
すっかり忘れていたけど話しているうちに断片的に思い出した。
「私も買って讀み直してみる」
楽しみが一つ増えた。
お互いの母親が羽仁もと子さんの全集買ってたことが判ってそれ関連の話もあれこれした。
一時代前の話が出来る相手は貴重だ。
年齢的には先輩だけど私より若々しい。
いろんな年代の友人から電話を戴くとつくづく幸せだなと思う。
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